プロジェクトにおける「工数」と「工期」の違い、あなたはきちんと説明できますか?
この違いは、見積書を作る際にも意識する必要があります。
前編で「工数」と「工期」の違いを、
後編で、見積書にどう影響するのかを説明していくよ!
- 【概念】「工数」と「工期」の違い
- 【具体例】「工数」と「工期」の違い
- <例1>一週間の視点で見る「工数」と「工期」の違い
- <例2>一か月の視点で見る「工数」と「工期」の違い
【概念】「工数」と「工期」の違い
まずは基本となる「工数」と「工期」の考え方を知りましょう。
工数
単位 | ○時間、○人日(にんにち)、○人月(にんげつ) |
考え方 | その作業を完了するまでに要する(要した)、純粋な作業時間の合計。 |
大抵の会社は、一日の労働時間が8時間なので、
8時間で完了できる作業の工数を、「1人日」と言います。(残業は考えてはいけない)
で、「20人日」は「1人月」と換算します。(1か月は大体20営業日あるから)
つまり、「1人月」=「20人日」=「160時間」となります。
工期
単位 | ○日(間)、○か月(間) |
考え方 | その作業を完了するまでに要する(要した)期間。 |
プロジェクトの開始から終了までに1カ月かかったのなら「1か月間」、
1年かかったのなら「1年間」となります。
【具体例】「工数」と「工期」の違い
では、早速具体例を見ていきましょう。
<例1>開発者:「3人日の仕事なので、納期は1週間程度ですね。」
- 工数:3人日
- 工期:5日間
「え?3日でできるんじゃないの?」と思うかもしれませんが、そうはいきません。
<例2>開発者:「1.5人月の仕事なので、納期は3か月程度みてください。」
- 工数:1.5人月
- 工期:3か月
こちらも、「なんでそんなにかかんねん」と思うかもしれませんが、
残念ながらプロジェクト進行上ではそうなります。
何故そうなってしまうのか、次の章で見ていきましょう。
<例1>一週間の視点で見る「工数」と「工期」の違い
<例1>で、なぜ3人日の仕事に1週間も時間がかかるのか、その理由を明らかにしてみましょう。
「3人日」ということは、
3人日 x 1日8時間労働 = 24時間を要する作業
となります。
この作業を請け負った開発者Aさんの、1週間の仕事の様子を見てみましょう。
なんとか1週間でやり遂げました、ギリギリでしたね。
「3人日」の仕事に「1週間」を要する理由が、なんとなくお分かりいただけたでしょうか。
そう、作業者は1日8時間をフルに作業時間に使えないのです。
また、ここで「稼働率」という概念を知りましょう。
これは簡単で、以下のように計算できます。
工数 ÷ 工期 = そのプロジェクトの稼働率%
<例1>の稼働率は、
24時間(工数) ÷ 40時間(期間) = 稼働率は60%
となります。
一般的な?日本の会社のイメージでざっくり書いてみましたが、稼働率は大体50%から良くても90%程度です。
<例2>一か月の視点で見る「工数」と「工期」の違い
同様に、<例2>の内容も見てみましょう。
「1.5人月」ということは、
1.5人月 x 1カ月の稼働日数20日 = 30人日
となります。
この作業を請け負った開発者Aさんが、「稼働率70%」で対応する場合の流れを見てみましょう。
お判りでしょうか。
プロジェクトには「待ち時間」が発生するのです。(上の絵の中の「お客様作業」の部分がそれ)
もちろん、実際のプロジェクトではただ待つだけではなく、次にできることを先行して進めていくのですが、
それでも「承認が得られるまで次のステップに進めない」という状況は、実際に発生します。
また、上の絵の中で、開発会社の稼働日数の合計は「47日間(期間)」ありますが、
要員の稼働率が「70%」であることを忘れてはいけません。
実際の稼働工数は、
47日(稼働日数) x 稼働率70% = 実際の稼働工数は32.9人日
※ぴったり30人日になっていませんが、少し余裕を見たということで
となります。
このように、「待ち時間」と「稼働率」を考慮すると、
1.5人月の仕事に約3か月かかることが分かると思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は以下を理解できればOKです。
- 「工数」とは、その作業を完了するまでに要する(要した)、純粋な作業時間の合計
- 「工期」とは、その作業を完了するまでに要する(要した)期間
- 「工数」と「工期」の比率はおおよそ1:2の関係
また、「工数」と「工期」をきちんと区別して会話する癖を付けましょう。
ここはよく齟齬るポイントです。
後編では、「工数」と「工期」が「見積書」にどのように関係してくるのかを学んでみましょう。
当記事があなたのシステム開発ライフの一助になれば幸いです。
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