できるプロジェクトマネージャーのなり方

ここではプロジェクトマネージャーに興味のあるあなたに向けて、
プロジェクトマネージャーのなり方を解説していくよ!

  • プロジェクトマネージャーは、プログラマーやシステムエンジニアの上位互換職じゃないよ!
  • 何から勉強すれば良いの?
  • プロジェクトマネージャーの勉強は、優先順位に気を付けてね!

プロジェクトマネージャーは、プログラマーやシステムエンジニアの上位互換職ではない

「PMになるには」でググると、「プログラマーから始めるものだよ!」と書いたサイトが多数出てきます。
実際の職場でもこのキャリアパスは存在しますので、これは1つの正解です。

ただ、それが本当に近道なのか?できるプロジェクトマネージャーになれるのか?
と聞かれれば、私の考えは違います。

何故なら、プログラマーとプロジェクトマネージャーでは、職務上で取り扱うものが全く異なるから。

以下に、各職種で取り扱う物を、割合の高い順に記載します。

職種取り扱うもの
プログラマー1.プログラム
2.ドキュメント
システムエンジニア1.ドキュメント
2.プログラム
3.人(この2と3の順番は微妙なところ)
プロジェクトリーダー
プロジェクトマネージャー
1.人
2.ドキュメント

プログラミングの上手な人が、人の扱いにも長けているかと言えばそうとは限らず、その逆もしかりです。

因みにここで言う「できるプロジェクトマネージャー」とは、
他業種でも通用する潰しの利く(容易に転職できる)プロジェクトマネージャーとしましょう。

プロジェクトマネージャーになるには、プロジェクトマネージャーになるための勉強をすべきで、
プロジェクトマネージャーが取り扱うものの理解を深めることが近道なのです。

何から勉強すれば良いの?

以下の3つを、上から順に勉強するのがお勧めです。

  1. 原則立脚型交渉
  2. アドラー心理学
  3. 伝え方の基本

1.原則立脚型交渉

これは簡単に言えば、Win-Winの結果に持っていく交渉術です。
ただ、言うは易しでこれがとても難しい。

以下に簡単な例を示します。

姉と妹が、1つのミカンをめぐって口論しています。

姉は、お風呂にミカンの皮を浮かべたいので、このミカンが欲しい。(中身は不要)
妹は、ミカンを食べたいので、このミカンが欲しい。(皮は不要)

この場合、どちらの言い分も「ミカンが欲しい」になるのです。
(引用:ハーバード流交渉術)

原則立脚型の交渉とは、それぞれの利害に着目し、双方が納得できる解決策を導くやり方です。

上で書いたみかんの例は、字面だけ読むと「なんだそんなことか」と思うかもしれませんが、
実際にこの状況に遭遇したとき、解決に導ける人は少数だと思います。(私も自信ありません)

何故なら、「ミカンは食べるもの」という「常識」を多くの人が持っているなかで、
まずその「常識」を疑い、「なぜミカンが欲しいのか」を双方に確認するところから始めなければならないからです。

2.アドラー心理学

難しそうなのが来ましたね。
しかし心配無用。全体的な概念の理解と、一部の教えが分かっていれば、まずはOKです。

この心理学が説く大きなところは、以下の3つです。

  • 自分の人生の主導権を握ること
  • 他者の課題と自身の課題を分離して考えること
  • 過去でも未来でもなく、現在を生きること

そう、これはプロジェクトマネージャー自身の心を整えるための勉強です。

プロジェクトマネージャーは、例えていうなら船の船長です。
その船長の心や信念が不安定だと、機嫌の良し悪しや場当たり的な指示に船員は右往左往してしまいます。

プロジェクトマネージャーは「人」を扱う前に、まずは自分自身を扱う技術を習得すべきなのです。

私自身、アドラー心理学に出会ってから、仕事のストレスが大幅に減りました。

3.伝え方の基本

上でプロジェクトマネージャーは、船の船長だと言いました。
船長は、目的地まで無事に船を運航することが仕事です。

大きな船は船長一人では動かせませんから、船員に作業を任せる必要があります。

そこで船員に動いてもらうために、なんらかの方法で指示を伝えます。

しかし、船長も船員も機械ではありませんから、同じ指示でもタイミングや相手によって結果が変わることがあります。

「伝え方の基本」を学ぶことで、指示や依頼が期待通りの結果になる確率を上げることができます。
人に動いてもらってなんぼのプロジェクトマネージャーにとって、生命線となる技術の一つです。

プロジェクトマネージャーの勉強は、その優先順位に気を付ける

プロジェクトマネージャーが必要とする知識や技術は、上記以外にも様々なものがあります。
次に来るのはマーケティングあたりの知識でしょうか。

また、IT業界のプロジェクトマネージャーであれば、
サーバ、ネットワーク、プログラムなどの実務に対する知見を持っていると、更に仕事が楽になります。

船の船長は、船員に代わってそれらの仕事を出来る必要はありませんが、
船員の仕事がどういったものかを知っておくと、お互いの意思疎通の助けになります。

しかし重要なのは、勉強の優先順位と深さです。

プロジェクトマネージャーが取り扱うものは「人」であり、
「サーバ、ネットワーク、プログラム」などは間接的な関りとなります。

であれば、優先すべきは「人」に関する分野の深掘りであり、それ以外のことは後回し、また広く浅くで良いのです。

それこそ、「それ以外のこと」はその分野に精通した「人」に頼れば良いのだと思います。
パナソニックの創業者である松下幸之助さんも、そのように立ち回られたそうです。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

一般に言われるプロジェクトマネージャーのキャリアパスとは異なる、プロジェクトマネージャーのなり方を解説してみました。

特に、交渉ができる、課題の分離ができる、相手が期待通りに動いてくれるプロジェクトマネージャーは重宝されますし、
何よりプロジェクトマネージャー本人の仕事が楽になります。

以上、あなたができるプロジェクトマネージャーを目指す助けになれば幸いです。

当記事のステップアップ図書

ハーバード流交渉術

一般的な交渉術の概念がこれ一冊で学べる超良書。私の人生のバイブルの一冊です。
この手法を知っているかどうかで、交渉結果が大きく変わってきます。

後半でようやく本題(原則立脚型の交渉)に入るので、やや辛抱が要りますが、
読み終わると、全体に意味があったことに気づきます。頭から読むのを推奨。

嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え

「哲学者と若者の対話」という、一風変わったタッチで描かれる本書は、
アドラー心理学の教えが良く分かる良書です。

読んで人生変わりました。私の人生のバイブルの一冊です。もっと早く読めば良かった。
「嫌われる勇気」という表題で食わず嫌いしてる方、損してますよ。はい、私のことです。

会社では教えてもらえない ムダゼロ・ミスゼロの人の伝え方のキホン

社会人に必須のスキルだが、教えてくれる人がいない分野を掘り下げた良書です。
書いてあることは当たり前のことばかりですが、意外にできている人は少ない印象。

コミュニケーションの本質が判っていると、仕事がとっても楽になります。
言語化してくれた著者の山口拓郎さんに感謝。

当記事の関連記事

プロジェクトマネージャー必修!人が文書を書く真の目的を知ろう
「この資料の目的は何?」こんなセリフを上司や同僚から言われたことはありませんか? 自分としては目的をもって書いているつもりなのだけど、この指摘が多い・・・。と、モヤモヤしているあなた。 人が文書を書く本当の目的を一緒に学ぼう! 【結論】人が...

このブログは、日本のプロジェクトマネージャーの仕事のレベルを底上げし、
本人とそのチームの人々の人生を幸福にすることを目的に、プロジェクトマネージャーの仕事に関する記事を書いています。

私自身も道半ばゆえ、至らぬ点も多々あるかと思いますが、記事の感想やリクエストをいただければ
できるだけ記事にしてお応えしますので、皆様の忌憚のないご意見をいただけますと幸いです。

コメント