【取扱注意】プロジェクトのパワーマップを作ろう

プロジェクトの状況を上長に報告したり、ヘルプを要請する際、
プロジェクト内の人間模様と、その力関係の説明に苦労することはありませんか?

その課題は、プロジェクトのパワーマップを作って解決しよう!

  • パワーマップってこういうものです
  • プロジェクトマネジメントでパワーマップを作る理由
  • パワーマップの書き方と保管方法
  • パワーマップの活用例

パワーマップってこういうものです

「パワーマップ」とは、あまり聞き慣れない言葉だと思います。
まずはどんなものか見てみましょう。

以下からダウンロードください。

https://drive.google.com/u/4/uc?id=10epSlMoU95UfQ7iB5Y-eMR8uqnrFN4GU&export=download

早い話が、プロジェクト参加者の力関係を図式化したものになります。

元来、パワーマップは一部の外資系の営業部門などで用いられている資料で、
商談を成功に導くための戦略・戦術を考えるのに使ったりします。

「クライアントの誰に対して、どの会社の誰から、どのようにアプローチするのか?」を、検討するわけですね。

※尚、「パワーマップ」という呼び方自体は、個社ごとに様々です。

プロジェクトマネジメントでパワーマップを作る理由

パワーマップは、プロジェクトマネジメントでも非常に有用なツールです。

使い道はズバリ、プロジェクトに新たに関与してもらう人(主に社内側)に、
プロジェクト参加者の全容を理解してもらい、効率よく動いてもらうため、となります。

プロジェクトに途中から参画したことのある方は思い当たる節があると思いますが、
参加者の多いプロジェクトの全容を理解することは容易ではありません。

パワーマップはそれを助けるためのツールとなります。


しかしこのパワーマップ、出番が無いのが一番良いんです。
というのも、プロジェクトに新たな人が関与するという状況は、大抵の場合、何らかの厄介な課題が発生したときだからです。

それらの課題を処理するために、プロジェクトマネージャーは上長に状況を説明し、協力を要請したりするわけですが、
その状況下にあるプロジェクトマネージャーは、時間的、精神的に余裕が無いことがほとんどです。

そんな余裕のない状況で、客観的事実を口頭ですらすらと説明するのは中々難しい・・・。

そんな時にこのパワーマップがあれば、プロジェクトの状況説明に要する労力を大幅に削減できます。

情報の伝え漏れや、その時の精神状況に左右されるような、偏った情報伝達を防ぐことができるわけですね。

パワーマップの書き方と保管方法

パワーマップを描くときのポイント
  • できるだけ客観的事実に基づいて描くこと
    パワーマップはあくまで課題を解決するための、建設的な用途のツールです。
    描く内容が罵詈雑言にならないよう、注意しましょう。
  • 忖度しないこと
    人間関係をはっきり書くのは抵抗を感じるかもしれません。
    しかし、ありのままを書かなければ情報が正確に伝わらず、パワーマップの目的を達成できません。
  • 関係が変化したり、プロジェクトの参加者が増減した場合は適宜更新すること
    人間関係は日々変化します。適宜更新するようにしましょう。
  • スペースは広く取ること
    参加者の多いプロジェクトでは特に、空白を広く取って書き始めると良いです。
    作成はエクセル推奨です。
  • 使う色は極力減らすこと
    カラフル過ぎる絵は、重要なポイントがすぐに伝わりません。
    全体で4~6色程度までに抑えましょう。また、凡例も付けること。
パワーマップの取り扱い上の注意点
  • 必ず閲覧パスワードをかけること
    外部に流出してしまったときのことを考えて、ファイルを開く際のパスワードを設定しましょう。
  • ファイル名の先頭に【取扱注意】のような注記をいれること
    これをしておくと、添付ミスなどの確率を下げることができます。

その他、細かい部分はご自身が描きやすいよう、自由に作っていただいて問題ありません。

パワーマップの活用例

パワーマップが活躍する場面をいくつか考えてみましょう。

活用例1

プロジェクトの進捗が悪く、改善したい。
プロジェクト内のとあるメンバー(または組織)の振る舞いが障害となっており、改善のため上長に協力を求めたい。

これが一番ありがちなケースです。

これまでの章で書いてきたように、「何が起きているのか、誰(何)が原因なのか」を口頭で正確に説明するのは中々難しい。
それも、一歩間違えると「悪口」になってしまうし、そんなことを口にすること自体に抵抗を感じますよね。

そんな時はパワーマップに、代わって伝えてもらいましょう。

活用例2

社内で当プロジェクトのレビュー会が開催される。
レビュアーにプロジェクトの状況を説明し、安心してもらいたい。

そこそこの規模のプロジェクトになると、これも避けて通れません。
社内の定期的な進捗報告会です。

「これは大丈夫か?あれはどうなってる?」と、
プロジェクトの進行に懐疑的な目を向ける人々に対して、パワーマップを広げて淡々と説明していきましょう。

理路整然とした細かい説明を頑張って行うというよりは、

「私はプロジェクト参加者の状況を全て把握しており、コントロール下に置いている。だから安心してくれ。」

ということを、心情的に理解させる(安心感を与える)ことがポイントです。

参加者の多いプロジェクトの場合は特に有効です。

活用例3

既存のクライアントに対して、営業部門が新規の提案を行う。
誰にアプローチするのが最も効率的かを伝えてあげたい。

これはパワーマップの元来の使い方ですね。

「こんな感じの人間模様なので、○○さんと話すのが良いよ!」
と、教えてあげましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

参加者の多いプロジェクトは、それぞれの思惑が複雑に交錯するため、
横槍が多かったり、何か一つのことを合意するにも根回しの対象が多かったりと、折衝も大変になります。

そういったプロジェクトをスムーズに進めるためには、人間模様の全体理解が欠かせません。

スラムダンクの名言ふうに言えば、「人間関係を制する者はプロジェクトを制す」です。

よかったら、下の関連記事も読んでみてください。

以上、あなたのプロジェクト運営の一助になれば幸いです。

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人間模様を軸にした、プロジェクトマネジメントの教本。
ある程度プロジェクトマネジメントを経験した人が読むと、「あるある」と共感しながら読めます。

これからの方も、できるプロジェクトマネージャーの立ち回りや考え方を知るのに役立つ一冊です。

嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え

パワーマップは、自身と他者の課題を分解して描く必要があります。
アドラー心理学は、そのことを説いた心理学でもあります。

パワーマップの作成が捗ること間違いなし、お勧めです。
私の人生のバイブルの一冊でもあります。

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