プロジェクトの全体の流れを知ろう(前編)

プロジェクトマネージャーに抜擢されたが、右も左も分からないぜ!

というあなたに向けて、プロジェクト進行の骨子を説明するよ!

この記事は3部構成でお届けしています。
前編で、一般的なシステム開発プロジェクトの全体像を、
中編で、プロジェクト開始直後の具体的な進め方を、
後編で、プロジェクトマネージャーが力を入れるポイントと考え方を説明します。

  • そもそも「プロジェクト」って何?
  • プロジェクトの全体の流れは?
  • ものの本って何?PMBOKとは?
  • プロジェクトとは、具体的に何を作り、どう進めていくものなのか?

そもそも「プロジェクト」って何?

手元の本にはこう書かれています。

プロジェクトとは「独自の目的・目標を設定し、それを期限までに達成させる一連の活動」のこと。

引用:プロジェクトマネジメント実践講座 P.16より

これをかみ砕いて簡単に言うと、「毎回内容の違う、期限付きの仕事」ということになります。

プロジェクトというと、多くの人が関わっているイメージを持たれるかもしれませんが、
上で書いたプロジェクトの定義を満たせば、1人でも立派にプロジェクトということになります。

さらに言うと、実はプライベートの中でも、「プロジェクト」は発生・実行されています。

例えば、

・ハワイ旅行
既定の期間と予算で、できるだけ無駄なくハワイを満喫し、無事に帰宅する。

・消費電力の低い冷蔵庫への買い替え
既定の予算内で希望の性能を満たす冷蔵庫を調達し、現在の冷蔵庫と置き換える。
置き換えが遅れると、余計な電気代として損失が発生する。

ね、どれも身近な話ですよね?(因みに、私はハワイに行ったことがありませんが)

これらの話に家族が絡めば、その人々は立派なステークホルダー(利害関係者)であり、
一気にプロジェクトの様相を呈してきます。

プロジェクト全体の流れは?

本題に戻ります。
プロジェクト全体の流れを、まずは大枠で捉えましょう。

なるほど、分からん・・・。という感じですね。
これでは粗すぎて具体的な行動が全く分からないので、以降の章でもう少し掘り下げてみましょう。

因みにものの本では、プロジェクトに「受注プロセス」と「運用・保守プロセス」は含まれていません。
しかし無視できない行程のため、私はいつもプロジェクト内の要素に含めて考えています。

ものの本って何?PMBOKとは?

詳細の流れの説明の前に、ものの本=PMBOKについて説明します。
ご存じの方は読み飛ばしてください。

PMBOKを簡単に説明すると、
・「プロジェクトの進め方のガイドライン」という感じのものです。
・「ピンボック」と読みます。

PMI日本支部が出している書籍の正式名称は「PMBOKガイド」です。

もう少しちゃんと説明すると、
アメリカのPMI(Project Management Institute – プロジェクトマネジメント協会)が取りまとめた、
プロジェクトマネジメントの知識や知恵を体系化した書籍です。

PMBOKは「Project Management Body of Knowledge」の略で、
和訳すると「プロジェクトマネジメント知識体系」となります。

PMBOKは1996年に初版が出され、現在は第7版が最新となります。
(余談ですが、第7版は、第6版までと内容がかなり異なるため、順に両方を学習した方が良いです。)

手に入れるにはAmazonなどで買うか、PMIの会員になる必要があり、費用は1~2万円程度必要です。
が、普通にプロジェクトをマネジメントするだけなら、入手する必要は特にありません。

というのも、PMBOKを分かりやすく整理した良書が多く出版されており、
そちらを購入した方が圧倒的に安く、理解も容易になります。


何故この話を挟んだのか。

PMBOKはプロジェクトマネジメントの標準として扱われることが多く、
世間一般のプロジェクトで共通言語のように扱われています。

PMBOKの体系(基本)を理解していると、プロジェクトメンバーや他のプロジェクトマネージャーとの意思疎通がスムーズになりますし、
人が入れ替わったり、他者からプロジェクトのレビューを受けることも容易になります。

プロジェクトの進め方は、プロジェクトチームやクライアントの個性を色濃く反映しますので、
PMBOKのようなガイドラインが無いと、個性豊かなプロジェクトが乱立し、カオスな状況になること間違いなし!

それに、基本を知らないために、転職した際に使い物にならないというのも悲劇ですよね。

プロジェクトとは、具体的に何を作り、どう進めていくものなのか?

話を戻して、プロジェクト全体の流れを分解し、具体的な成果物と共にプロジェクトの流れを見ていきましょう。

PMBOKに私の経験を織り交ぜて、できるだけシンプルにまとめてみました。
読む気の失せるボリュームですね・・・。字も小さいし。

ただ、今この場ですべてを理解する必要はありませんし、
プロジェクトマネージャーとしてプロジェクトに関わったことがなければ、そもそも理解すること自体が難しい話です。
(それに、他人の作った資料はすぐに理解できないものです。安心してください。)

パワーポイント形式などでダウンロードできるようにしてありますので、
手元に置いてもらって、実務に携わりながら少しずつ理解、活用していけばOKです。

<図の見方>
・大きな仕事の単位でブロックを分けています
・主な制作物(成果物)を青色で塗っています(RFI、RFPは主にクライアントが制作するものです)
・基本的に上から下に、左から右に仕事が流れます(要件定義の周辺では仕事が戻る箇所があります)
・時間軸で同じ高さにあるブロックは、同時期の進行になります

各ブロックの詳細は、今後の記事で説明していきます。
まずは上の図を読み込んで、全体感を把握しましょう。(くどいですが、無理して深く理解しようとしないこと。)

まとめ

いかがでしたでしょうか。

プロジェクトって、やること多くて大変そうですよね。
実際結構大変です。

しかし安心してください。
全てをプロジェクトマネージャーが処理しなければいけないわけではありません。

次の中編記事では、プロジェクト開始初期の進め方を解説していきたいと思います。

前編は以上!あなたのプロジェクト運営の一助になれば幸いです。

当記事のステップアップ図書

マンガでわかるプロジェクトマネジメント

プロジェクトマネージャーの仕事を追体験できる良書です。
漫画と侮るなかれ。プロジェクトマネジメントの実務に必要な要素は網羅されています。

全体の把握にはもってこいで、私は躓くたびに読み返しています。

プロジェクトマネジメント標準 PMBOK入門(PMBOK 第7版対応版)

個人的に、PMBOKの入門書で一番優しいと思う一冊です。ページ数も少ないです。
しかしPMBOKやプロジェクトの工程は一通り押さえており、入門や全体の振り返りに適しています。

この手の本(PMBOKの解説書やプロジェクトマネジメントを説いたもの)は、著者の経験が織り交ぜられて語られることが多く、抽象的で理解しづらい本が多いですが、この本はそういった面が薄いのでお勧め。

PMP完全攻略テキスト PMBOKガイド第7版対応

PMBOKの第7版にいち早く対応した解説書です。
上の書籍と比べて、本書はよりPMP試験対策に振った内容になっています。
500ページほどありますが、模擬試験が半分を占めますので、実質読み物は250ページ程度。

書かれていることも概念的、抽象的なので、一通り実務を経験した後に読むと気づきがあると思います。
(2023年3月20日の改訂版で、模擬試験の内容がアップデートされる模様。)

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