プロジェクトがスムーズに進まない理由

「プロジェクトマネージャーに興味がある。」
「プロジェクトが上手く進まない。」

そんなあなたに向けて、プロジェクトとは何かを解説していくよ!
まずは、自分が取り扱うものの本質を知ろう!

  • プロジェクトとは、人である。
  • その人々は、利害で縛られているよ!
  • おまけに人は常々不合理な生き物だよ!
  • だから、人であるプロジェクトは思い通りになるわけがないんだよ!

プロジェクトとは、人である

プロジェクトってどんな人々で構成されているんでしょうか?
ざっくり描くと、下の絵のような2つの組織、4つの役割に分類できます。

クライアント企業

お金を払う人々。仕事の課題を解決するアイディアを持っていて、それを実現したい。

  • プロジェクトオーナー:クライアント企業側で一番偉い人。この人が登場人物の中で一番偉い。
  • クライアント担当者(たち):クライアント側で実働する人々。プロジェクトの規模によっては複数人の場合もある。
ベンダー企業

お金を貰う人々。クライアント企業のアイディアの実現に向けて活動する。

  • プロジェクト責任者:ベンダー企業側で一番偉い人。一応プロジェクトオーナーとは対等な関係。
  • プロジェクトマネージャー:プロジェクトをけん引する人。
  • プロジェクトチーム:ベンダー側で実働する人々。プロジェクトで一番大切な現場。

これらの人々は、利害で縛られている

大抵の場合、前述の人々は会社組織に属しています。
すると、必ず「上司」が存在します。
その上司にも、さらに上の「上司」が存在しますし、果ては社長にも、頭の上がらない人々が存在しています。

そして、それらの人々は、それぞれの事情や価値観に基づいて動いています。
社会的な評価の定義も、会社・部門・役割ごとに異なるでしょう。

そんな人が2人以上集まれば、そこには利害の対立が必ず発生します。
そのような人々が数珠つなぎになったもの、それがプロジェクトの実態です。

おまけに、人は常々不合理な生き物

この「利害の対立」に対して、まずは会話による解決を試みますが、
人は機械ではないので、判断を誤ったり、関係がこじれて会話に進むことができない場合があります。

また、利害の解決のための重要な情報(本音)を教えてくれないこともあります。
(大抵、その人にとって都合の悪い情報で、最後の最後に出てくることが多い。)

すると、「建て前」を基に双方の利害を調整することになるため、
交渉が決裂したり、双方が望まない内容の合意になることがあります。

また、判断を誤るケースでは、
将来的にはどう考えてもA案が最適なのに、目先の利益にとらわれてB案を選んでしまう、といったことが起きます。

また、判断を誤る要因も色々なものが考えられます。

  • 判断材料が足りていない。偏っている。
  • 報告者と決裁者の関係が悪い。
  • 決裁者が自身の利益を優先した。(この場合、決裁者にとっては正しい判断)
  • 時間が足りず、十分に検討できなかった。

だから、プロジェクトは思い通りに進まない

ここまでの話をまとめると、
プロジェクトとは「損得感情を持った合理的な判断が出来ない生き物の集まりであり、それらが複雑に絡み合ったもの。」と言えます。

そんなものが、放っておいても真っ直ぐゴールに進むわけがありません。

プロジェクトマネージャーはそれらを紐解き、ゴールに向かうように仕向ける専門家と言えます。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

巷にあふれる本とは異なる切り口でプロジェクトを解説してみました。

孫子曰く、「彼を知り己を知れば百戦殆からず」。
プロジェクトマネージャーを志すときに、自分が取り扱うものが何なのかを知っておくことはとても重要です。

以上、あなたがプロジェクトを理解する助けになれば幸いです。

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難しい用語の登場しない行動経済学の本です。まずはこの分野に少し触れてみましょう。

著者、翻訳者の性格なのか、言い回しが冗長でやや読みづらいですが、
細部を理解しようとせず、全体的に「あるある」と思いながら浅く読むのをお勧めします。
(先頭の「はじめに」だけ読んだら、あとは面白そうなところを読めばOK。)


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